悩める就活生へ

2020年1月30日

豊かな就活

就活の幕開け

大学三年生の多くが直面する就職活動。近年は「三年になったら就活」、というスタートのタイミングもなく、一年生も二年生も就活をしようと思えばできる時代になっている。

就職活動、働きたい企業で働くために自分と向き合い、全力でアプローチをかける大学生活の一大イベント。
三年になるかならないかのタイミングで、一気に三年向けの就職説明会、セミナーが始まる。大学のキャリアセンターが企業とタイアップして巨大なセミナーを開く。「今から準備すれば納得のいく就活ができる!」
「就職活動で失敗しないためには。。。」「超有名企業から内定を獲得したOB・OGに話を聞くイベントに参加しよう!」などなど謡い文句が飛び交う。

私は大学が主催する就職セミナーに 一度きり参加してふと思った。

「就職活動における成功って何?」

超有名企業から内定をもらうことの大義は何だろう?」

いったいぜんたい、ネームバリューのある企業に就職をすることが望ましいとされるゴールなのだろうか。

学部報を読むと、「某大手メーカーに就職した先輩の成功秘話」「○○コンサルティング内定獲得した先輩に聞く!」などなど、焦点が明らかに固定化している。

就活サイトも、「メガバンク、外資コンサル、商社、戦略コンサルファーム、GAFA・・・(響きがかなり高圧的な企業群の)内定獲得」攻略関連の記事であふれている。80~90万人に近い学生が登録しているといわれる 言わずと知れた○○ナビの2サイトでさえ、「就活生に人気の企業ランキング」を出している。アルゴリズムを使用した「あなたにおすすめの企業」までもわざわざカスタマイズ化し提示してくれる。

ここで、明らかに日本の就職活動はまだ「ネームバリュー」「高収入」を好ましいとする気風があることがわかる。これは日本が学歴社会であることに起因する。単純に言えば、頭のいい人が、頭脳とスキルを要する会社に入って、日本を引っ張っていくリーダーになるという考え方だ。頭のいい人を日本の中枢産業を回していく人材として採用し、採用コストを削減するという考え。

人事部は、常にスピード、コスト、質、量と戦っている。ある程度ブランドイメージを高めておかないと、「質のいい」学生が自然と集まってくることなど決してない。企業の見極め方を教えられたわけでもない学生たちは、盲目的に「給料が高い」「有名な企業に就職すれば自分の価値が高まる」などの考えを捨てきれずに、ネームバリューのある企業に飛びついてしまうことも少なくはない。その学生の中に、望ましい人材がいるわけだ。誰にでも門戸は開かれていて、彼らをふるいにかける。今では人だけでなく、コンピューターでさえ人を選別する。選ばれるのはほんのひとにぎりだ。ふるいをかけるため、採用の効率をあげるために、偏差値の高い大学生しか入れない就活サービスも存在する。よく考えるとおそろしい。

社会的に価値がある企業とは


私は何も学歴コンプレックスがあるわけでも、日本の就活の文化に文句を言いたいわけでもない。
誰でも知っているような企業に入ること、外資の一流企業に入ることは、並大抵のことではなく、実際に相当に頭がよく、ふさわしい素質を備えているという条件が必要となる。経済を大きく左右するような仕事に携わる人は、国民の生活に大きな影響を与え、社会的に大いに意義があることを仕事とする。大変尊敬に値することであり、学生が意味をもって選んだ結果ならばそれがその個人にとって正解なのである。


しかし、論点はそこではない。企業に採用されるされないの前の段階、企業を選ぶ段階に論点がある。名が世間に知れ渡った企業に入ることがいまだに「成功」とされるということが、学生の思考をいったん停止させるということだ。とりあえずみんなが目指すから、有名だから受けてみよう、という考えを持ってしまうことは、本当に自分が目指したいものに向き合う時間を短縮し、私たちを短絡的思考に陥らせる。さらには、みんなが知っている企業に就職できなかったとき、大きな心の負担となる。

有名、社会的価値が高い、賞賛される、輝かしい、などみなの注目があつまっている会社に入ることは、社会的成功者、エリートとみなされる。大企業から内定をもらえず、その一部になれなかったことは、時に私たちの心にコンプレックスを植えつける。

皆と同じであること、社会的に価値があるとみなされることが大事だという考え方は価値判断が自分ではない。ということは、周りが変わるたびに自分の価値判断を変えなければならない。これでは、いつも不安につきまとわれることになる。自分がないことの重さ。

変わり始めた就活

さて、社会にこの傾向がある一方で、就活は明らかに変わり始めている。
「自分にしかない素質を認めてもらおう」「自己成長ができる会社」「若手の裁量権がある」などのフレーズが就活用サイトにも、メールのタイトルにも書かれるようになった。
そして自分を成長させたい、試してみたいという学生たちが、まだ名も知られていない企業に多く押し掛ける。ネームバリューにとらわれない、自分の価値を高める強い意志を持った学生たちだ。企業側は、これらの学生たちを「感度の高い学生」と呼んでいる。

では、この「感度の高い学生」はいかにして就活の場に現れるようになったのか。
私は、若者の不安感がこの現象の裏にあると考えている。
株式会社電通マクロミルインサイトのインターネット調査によると、どれくらい若者が将来に不安を抱いているかが明らかである。

https://dentsu-ho.com/articles/2443

引用元の電通報のサイトには、スマートフォンが普及した今、ありとあらゆる問いに関する情報は手に入るのに、自分の将来の不安に対する答えは見つからないというジレンマが、不安を増長させていると書かれている。確かにそうだ。正しい答えなどないから、探せば探すほど焦り、道に迷うのかもしれない。

また、私はこうも考えている。現代はソーシャルメディアの発達によって、個が影響を及ぼす範囲が拡大し、セルフブランディングが社会で自分の価値を示すために求められるようになってきた。ソーシャルメディアは、自分の化身として、社会にその存在を示す。自分がどんな人間であるか、どんな経験があってどう社会に影響を及ぼすことができる人間かがざっとスクリーニングされ、社会的な需要にマッチし、価値があると思われる者が注目され、必要とされる。特に、就労エージェントや派遣会社を筆頭とした労働市場ではすべてが一個人の持っている「価値を生み出す力」にかかっている。

この二つの傾向から、「感度の高い学生」が出現したのではないだろうか。何かに答えを求めるのではなく、自分がしたいこと、すべきことを自分で探そうとする学生。
急速に変容していく社会の中で、社会のニーズへの対応力を持った学生。

就活をする中で、「社風、見据えているものに共感する学生」「変化していく社会の展望を持ち、適応力をもった学生」を求めている企業も多いように感じている。感度の高い学生が増えれば、企業と学生のマッチング率も上がっていくだろう。

就活は現時点での最適解を自分で見つける段階

このように「ネームバリューのある企業に入ることが成功だとみなされる風潮」と「ネームバリューにとらわれず自分の価値を創出しにいく学生」の傾向について考えてきたわけだが、
ここまできて強く感じるのは、就活に正解はないということだ。
というより、就活は「将来につながる今の段階での最適解を自分で見つける段階」だ。
就活のイベントを通して、中途採用で新卒で入りたかった企業に入った方や、国内でトップの大学の学生にベンチャー企業の説明会で大勢出会った。企業への向かい方は本当に千差万別なのだ。
社会がそれを価値があるもののように見せかけていても、自分にとってはそう映らないかもしれない。
そんな時、自分の直感と知識を信じて、見切りをつけることは、自分に向き合っていることになる。

有名な企業に内定をもらえていない、友達がみんな志願している、などと周りと自分を比較して焦るより、数年先、数十年先を見据えて、自分がどんな人物になりたいかを描いて、今の段階でそれに近そうな企業を選ぶほうが、よっぽど自分にとって納得のいく就活といえないだろうか。

もしかしたら、自分にとっては納得のいく企業に内定をもらっても、同窓会や親戚が集まったとき、どこに就職するのか聞かれて、その答えによっては、ネガティブな反応をされるかもしれない。しかしそんな時、私はこの企業でこうしたいから、ここを選んだ、と嘘偽りなく胸を張って言えたら、相当かっこいいんじゃないかと思っている。

だから、就活は自分のペースでいけばいい。周りと比べず、追い込まれず、自分の位置を確かめながら、理想に向かって何かしらの行動をとってみること。筆者はそれが就活で悩まなくなる秘訣なのではないかと感じている。

最後に。人事の方からもらった思いがけないヒント

最後になるが、一つだけシェアをさせていただきたい。
就活について腑に落ちるたとえなので、参考になれば嬉しい。

就活を恋愛に例える人事の方が多い。
「入りたい企業があったら(気になる人がいたら)」
「自分が何を求めているか(容姿、性格 etc)」を知ったうえで、
「企業が本当に自分がやりたいことを達成できる場所であるか(自分が本当にその人と付き合いたいか)」を知り、
「(上記の場合)自分がその企業に入るために足りていない部分を改善し(好かれる努力をして)」
「選考を受ける。(告白する)」
「企業が自分の持っているものが欲しければ受け入れてくれる。(その人も自分と付き合いたいならはいという。)」
もしだめでも、その企業とは、その人とは縁がなかったのだろうし、縁があったら、またチャンスはめぐってきて就職する(一緒になる)時が訪れる!(でもきっとチャンスをつかむためにも自分の足りていなかった部分を改善しなければならない!!!)

こんな風に考えたら、少し就活ですべきことがクリアにならないだろうか?
お役に立てたら幸いである。

就活は、真剣に考える必要はあるけど、きっと悩むものじゃないです。自分のことがよくわかるようになって、将来が少し見えてくる、チャンスがいっぱいの成長期間。リラックスして望めたらいいなと思っています。それではまた!